アメリカはヨーロッパの10年前をたどる

(USA, 10 years behind Europe - or are they? Pig Progress net.

by David Burch 23 Mar 2009)

私は最近、テキサス州ダラスで開催されたアメリカ養豚獣医師学会に出席し、著名なDr.ロイ シュルツと会い、「ヨーロッパで起こったことはアメリカで10年遅れて起こるのが普通だ」と言うのを聞きました。私はその協議会で最新情報を入手すると、彼の話がどういう意味だったか興味を持つようになりました。

 

 新しい行政方針と政策が作られ、養豚業界は愛護や環境、抗生物質(特に成長促進目的に使われるもの)の使用に新しい波紋を受けることになるでしょう。養豚業界は、ここ数年間は繁栄しました(90%以上の育成豚がPCV2のワクチンを接種されている)が、豚1頭当たり15ドルの割合で損失が出るという厳しい状況です。これは生産過剰によるもので、生産規模の縮小が必要になるでしょう。同時に、PETA(動物愛護団体)や新しいHSUS(米動物愛護団体)などのNGOによる生産システムの見直し(妊娠ストールや分娩房の廃止)、去勢や人道的な と畜法の要求にも直面しています。

 

 英国は1999年に母豚のストールを最初に廃止しました。これに伴い、生産者は豚舎構造を改造するために投資が必要となり、経済的な影響が最初に現れ、また弱い者いじめや喧嘩などの管理上の問題も増加しました。しかし、徐々に我々はこれらを解決する方法を学びました。他のヨーロッパ諸国は2012年に採用することになっていますが、我々の失敗から学んでもらえることを期待しています。このことがすなわち英国の養豚の生産性が他のEU諸国と比べて競争力が落ちて繁殖農場が40%にまで減少し、豚肉の輸入率が50%増加したことの理由ではありませんが、少なくともそのうちの重要な因子となりました。同時に去勢もやめましたが、個人的に言うと私は肉質、特に雄豚臭に関して悪い影響が出たと感じています。ヨーロッパでも現在議論されているところです。

 

 環境に関して、増加する豚肉の需要にあわせるために農業の集約化が求められていますが、同時に「野外で有機的に生産されたもの」というニッチな要望が確立され、まだ早いとも思われますが、世界の人口増加に伴ってそういった要望に個体得る豚肉生産もできるでしょう。オイルと置き換わる、もしくは使用量を減らすために使われるエタノールへのとうもろこしの使用は世界のコーン価格に大きな影響を与えるでしょう。これは2008年に経験したように、食料のより穀類への依存が大きい貧しい国々に深刻な影響を与えました。

 

 抗生物質の使用に関して、我々は2006年に成長促進向けの使用を禁止しました。デンマークは他の多くの国々よりも数年早く禁止しました。彼らは大腸菌性の下痢の増加と、その結果増加した治療用の抗生物質の使用について学ばなければなりませんでした。今になってヨーロッパのほかの国へと広がりましたが、栄養の変化や新しく農業用に開発された添加物のおかげで、その影響は我々が見たところ最小限に抑えられています。大腸菌感染の改善で最も重要なことは離乳を3から4週齢に伸ばしたことでした。二つを比べてみると、わずか一週間の違いで感染からの回復と成長への影響は大きく変わりました。酸化亜鉛の飼料添加も治療用の抗生物質の使用を抑えるために重要な役割を果たしました。米国で「治療以外」の目的、例えば成長促進や飼料効率の改善などのものを禁止する場合、病気の予防やコントロール、治療への使用が認められるならあまり恐れすぎる必要はないと思います。また次に米国が更なる次のステップとして、飼料に使える抗生物質をヨーロッパ同様に処方薬に進めると面白いと思います。

 

 より軽い話題として、私はレストランで黒豚のポークチョップを頼んだときにステーキのような焼き方(レア、ミディアムかウェルダン)について聞かれてとても驚きました。これは私にとって世界で初めての出来事でした。普通、英国では豚肉は焦げて硬くなるまで調理します。牛肉の半分の価格で同じようにジューシーでおいしく、米国もヨーロッパの美食に追いついています。

 

(USA, 10 years behind Europe - or are they? Pig Progress net.

by David Burch 23 Mar 2009)





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