養豚衛生特集

豚赤痢

(PigSite Articles 2009 June by BPEX)

 豚赤痢は農場の治療や死亡率、出荷に適さない豚や余分な飼料コストがかかるという点で最も経済的なダメージを与える病気の一つです。BPEXではこの出費のかさむ病気のコントロールのコツを「生産改善シリーズ」の23として紹介します。

 豚赤痢は農場が経験する最も経済的に大きな損害を与える病気の一つで、肉豚1頭あたり、治療費や死亡、出荷できない豚による飼料費の追加で10ポンド以上余分にかかります。豚赤痢は育成から肥育豚に影響を与え、粘膜を伴った血液混じりの下痢が特徴です。この病気はBrachyspira hyodysenteriaeという細菌が原因で、大腸に重度の炎症を起こします。

目標

    環境中の豚赤痢を効果的にコントロールし、農場からの撲滅に向けて努力する

    成長を改善して肥育農場の効率を良くすること

    短期−長期的どちらもの家畜の健康を改善する

疾病の影響

 疾病の大きな経済的被害は死亡率と発症率、成長率の抑制と飼料効率の悪化、そして飼料に添加する薬剤のコストからなります。

 

臨床症状

    血液と粘膜の混じった下痢がやがて悪臭の水様性下痢になる。

    状態が急速に悪くなる

    やがて進行すると死亡する

    最初に農場に侵入したとき、母豚も下痢を発症(多くの場合で血液は認められない)し、23週齢の子豚が赤痢の影響を受ける。

    臨床症状を呈した母豚では不妊の問題が起こる場合もある。

    屋外での繁殖農場の場合などで、母豚に臨床症状が認められずに別の肥育農場でのみ症状が見られる場合があります。このような場合には繁殖豚分の感染を確かめるために集中的なサンプリングが必要となるでしょう。

 

どのようにして豚赤痢は伝播するのか?

 B. hyodysenteriaeは大腸に生息し、糞から排出されます。汚染された糞を食べた豚が感染します。ですから、豚赤痢のコントロールには衛生対策が重要であり、人間の靴や器具などによって簡単に農場のまわりに広がってしまうのです。

 豚赤痢は農場から農場に感染した豚を運んだ後で適切に洗浄・消毒しなかった運転手やトラックによっても広げられます。

 最も一般的な感染の拡大は、清浄な農場に感染した豚を持ち込むことによって起こります。もしあなたの農場が汚染されていた場合、たとえそれが投薬によってコントロールされていたり、豚の入れ替えの最中であったとしても他の農場に伝染させる可能性があります。

 汚染された農場にはたくさんの感染源が存在し、その例を以下に示します。

    B. hyodysenteriaeは寒冷な気候下では堆肥やスラリーの中で60日間生存できます。ですから撲滅プログラムへの挑戦は普通は温度が高くて細菌が環境中で死滅しやすく、汚染が減らせる夏に行われます。

    多くの家畜も短い期間であれば細菌を伝播する場合があり、犬や鳥、ハエも物理的に病原体を豚房から豚房に伝播します。

    B. hyodysenteriaeはネズミに感染して伝播されるため、効果的なげっ歯類の駆除計画も立てなければなりません。

    カモメやムクドリも感染を受けて汚染を農場間で広げることが確認されており、特に野外飼育の場合で問題です。

    病原体はハエの足で約一時間生存し、ハエは糞と飼料を渡り歩いて病原体を広げます。

 

管理のガイドライン

    衛生と洗浄消毒(生産改善シリーズ10:洗浄と殺菌を参照)がこの病気、そして他の病気の拡大を防ぐ鍵となります。徹底的な乾燥と消毒で病原体を殺菌できます。

    撲滅は適切な治療と効果的な洗浄、消毒によって実現できます。あなたの農場と状況にあったプログラムについて獣医師に相談してください。

    病原体を持ち込まないように厳密なバイオセキュリティーを維持する(生産改善シリーズ13:バイオセキュリティーを参照)。

    農場のセキュリティーを最大限確認すること。豚の導入元の状況や、車が農場に来る前にどこを経由したか、特に廃用母豚の収集や飼料の配送について。

    ネズミの駆除対策を実行し、犬や猫の侵入を防ぐ。

    農場内にすでに病原体が侵入している場合、オールイン・オールアウトの実践などで豚のグループ間での伝播を防ぐ。

    場合によっては豚赤痢による経済的な影響が重大でコントロールができない場合、撲滅のために全ての豚を農場から出し、清浄な豚の導入が必要になる場合もあります。

    B. hyodysenteriaeに対して有効な薬剤はいくつもあります。コントロールや予防に使えるものを獣医師に相談してください。


診断

 豚赤痢の診断には糞や消化管内容物の検査が必要です。豚赤痢の兆候があると思ったら、獣医師に相談してください。

 

 

(PigSite Articles 2009 June by BPEX)






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