血漿タンパクの置き換え−どうやって? (Replacing Plasma - How?)
何よりさておき、私にまず言わせてください。血漿タンパクの実際の作用機所について100%正確な説明はありません。たくさんの理論があり、またそれぞれを支持する様々なデータがあります。個人の経験から一般常識もあります。私は科学的な文献から解説していきます。
最初に、血漿タンパクの持つ“嗜好性”の効果に関するおとぎ話を拭い去りましょう。これらの効果を示すデータはとてもあいまいで、実験の手法も明らかではなく、解釈の仕方は一つではありません。一般常識でも血漿タンパクには“嗜好性”の効果があると思われていますが、これは血漿タンパクが含まれている配合の原材料に依存するものです。実際、血漿タンパクの効果はもともとの動物の成長速度に対する反応なので、同様のことが“悪い配合”と“良い配合”でも見られます。
第二に、血漿タンパクの効果はそのアミノ酸の高い消化性によるものだということです。実際、血漿タンパクはとても消化が良いですが、他の多くの動物のタンパク質や植物性のタンパク質もあわせて考えても、家畜の血漿タンパクと比較されたタンパク質はありません。極端に貧相な配合の場合でのみ、血漿タンパクが高品質な蛋白源として価値があるかもしれませんが、それではどれほど高価なものになるでしょう!ですから血漿タンパクを置き換えるときにはアミノ酸の違いをカバーするために高品質な蛋白源が必要になります。
三番目にこれはデータもなく提案のようなものですが、血漿に含まれるミネラルや塩分が摂食量を増加させるのかもしれません。実際、ミネラルは必要ですし子豚は塩味を好みます(オハイオ州立大のD. Mahanの研究を参照)。しかしミネラルの効果は血漿タンパクほどの違いを示しません。
それでは何が残されているのでしょうか?免疫グロブリンの中の、特にIgGです。血漿タンパクには最高15%ものIgGが含まれていて、これが子豚の餌に使われているすべての原材料の中でとても独特なものです。免疫グロブリンはどのように働くのですか?とてもシンプルです…そしてとてもその作用は効果的です。これらは病原体を中和して、病原体が消化管壁に取り付いて悪影響を与えられないようにするのです。
ですから、病原体とIgGの相性が近ければ(鍵と錠の関係です)効果は大きくなります。そしてこれは血漿タンパクが下痢の病原体に対して効果的に働くようにというIgGの自然の働きです。血漿タンパクには幅広い病原体に対する様々な種類のIgGが含まれていますが、子豚が特定のE. coliの感染を受けると血漿タンパクに含まれるIgGでは全ての病原体に対応するには十分ではありません。
ここで特定の子豚の病原体に対して免疫された雌鶏に由来する卵の免疫グロブリンが、子豚の下痢を強力にコントロールするのです。K88で感染させた子豚に様々なレベルの卵黄抗体を投与し、子豚の下痢の日数と生存率が対照群と比べてどれだけ改善されたかを示す下の表を見てください(Infection and Immunity, 1992, Vol
(60):998)。そして次に腸管毒素原性E. coliの感染防御の大きな効果の写真を見てください。
3つの別々の調査が何年も前に行われましたが、あまり知れ渡る事はなく、やがてアイオワ州立代のDr. Zimmermanの研究室のR. Gatnauが血漿タンパクの分子量の大きい分画(IgGを含む)が良い効果をもたらすことを明らかにしました。他の分画はあまり結果を出しませんでした(グラフ参照、またJournal of Animal Science, 1995, Vol 73 (1) : 82)。
この報告に加えて、血漿タンパクの有効成分がIgGであることを示す、少なくとも4つの例を知っています。このブログを書いている間にデータを見直してみると、私は今、純粋な免疫グロブリンが必ずどの試験でも血漿タンパクより優れた結果を出している事に気付きました。これは私自身の調査と比べると謎になりますが、これは生物学的な“ノイズ”として扱いましょう。純粋な免疫グロブリンが血漿タンパクそのものよりも高い効果を発揮するには何かあるのか・・・確認するためにはもっと調査が必要です!