豚の移動
今回は豚の移動のコツについて解説します。
●もし豚が神経質な場合でも、移動をちょくちょく行うと移動や選別をあまり嫌がらなくなります。毎日のチェックをできる限り多く、通路からでなくて豚房の中に入って行うのも豚を慣れさせるのに効果があります。また、人の存在に慣れた若い豚の方が発育が良くなります。
●豚がもともとおとなしくて素直な場合には、これを実践するとむしろ人馴れしてしまって、移動時に人間に抵抗するようになるのでやってはいけません。
●豚には自分のペースで歩かせるようにしましょう(遅い、躊躇する、好奇心)。
●移動には板を使用し、杖や棒を使ったり、長靴で蹴ったりしては絶対にいけません!
●移動の通路の幅は1メートル以上なければなりません。この幅があれば豚が並んで移動することができるので、豚が安心して前に進んでくれます。これより少し狭い場合には豚の移動の頭数を少なくしましょう。一度に育成豚なら5、6頭、肥育豚ならせいぜい3、4頭にしてゆっくりと移動させましょう。積み込みのストレスが肉質にも影響する場合がある事を覚えておきましょう。
●積み込みの前に、豚を通路に溜めないようにしましょう。この待機時間が神経質な豚に何かこれからおかしなことが起こりそうだという警戒心を与え、移動や選別に支障をきたします。
●豚は顔に向かって風が吹くのを嫌がるので、豚が通路から出て行くまでの少しの間、換気や圧力スイッチを止めましょう。
●豚は暗い所から明るいところに移動するのを普通好みますが、水たまりなどの光の反射があると、光の正体を見極めるまでは強情に立ち止まります。こういう障害がないかチェックしましょう。
●豚の出荷を薄暗い夜明けに行う場合、豚の後ろの高いところから出口のほうに向かって光を照らしてやりましょう。しかし、豚が影を警戒する事に気をつけなければなりません。ですから、光は豚の後ろの十分な高さのところから出口に向かって照らし、豚の壁が前に向かって長く伸びないようにしましょう。出口の外側でも、別のライトで積み込み台を照らしましょう。
●外にトラックの運転手など、誰か人間がいないようにしましょう。視界から十分離れたところまで下がるように言い、タバコも捨てさせましょう!
●トラックを積み込み台につける時には、やや高めになるよりも低めになるようにするのがベストです。20センチの間で10センチ下がるようにしておく事で、嫌がる割合が75%減少します。
●豚は通路の出口の直前の豚房の豚と「兄弟愛」を確かめるためによく立ち止まります。出口から3〜5メートルの豚房の前をトタンやベニヤ板で目隠しすると、この豚の立ち止まりがうまく抑えられます。
(PIG PROGRESS. net No.190 02 Dec. 2008 by John Gadd)