健康な子豚のために卵を(Eggs for healthy piglets)

PIG PROGRESS net. No.174 07 Oct. 2008 by Dr. Ioannis Mavromichalis)

 相当昔のことですが、子豚の下痢を最も効果的に治す方法は、その農場で育てた雌鶏の卵を餌として与えるという事です。今になって様々なものが変化しましたが、知識は失われていません。私は免疫強化したエッグパウダーについて話をします。少なくとも過去十年間で市販されるようになりましたが、まだ血漿タンパクや酸化亜鉛の代わりにはなりません。私の意見として、これはこの両方よりも良い添加剤になるでしょう!

感染症の流行

 私が米国で働いていた2002年に、中西部の北部の州で大腸菌症の集中的な流行がありました。何も効果がありませんでした!血漿タンパク、酸化亜鉛、抗生物質、どれも効果がありませんでした。そして免疫強化したエッグパウダーを使いました。手短に言うと、我々があえて子豚を販売し始めてから数年たってから、我々はこの添加物に出会ったのです。それからこの添加剤は劇的に変化し、市場には様々な商品がとても手頃な値段で販売されるようになりました。そしてさらに良いことに、この免疫強化したエッグパウダーが離乳後の下痢のリスクを最小にするだけでなく、血漿タンパクを置き換えることもできるのです。どうか説明させてください!

殺菌した卵

免疫強化したエッグパウダーとは、基本的に子豚の離乳後に影響する特定の病原体に対して免疫を強化した雌鶏の卵を殺菌したものから作ります。免疫強化の結果として、これらの雌鶏から産まれた卵は免疫グロブリンが極端に多く含まれます。そしてこの免疫グロブリンが病原性の細菌と結合し、家畜に無害なものにします。我々はこれらの製品を最初に添加してから、子豚の栄養にこの免疫グロブリンの概念を取り入れ続けています。これはどのようなものか?甘い乾燥ホエーには2.5から4.5%の免疫グロブリンが含まれています。これはミルクを使った自然の強力な抗菌物です。動物の血漿には同様に8から15%の免疫グロブリンが含まれていて、研究により血漿タンパクに含まれる免疫グロブリンが良い効果を発揮する事が明らかにされています。

なぜ卵か?

 しかし、どうしてミルクや血漿タンパクがあるのに卵を選ぶのでしょうか。第一に、ミルクにはとても少ないレベルでしか免疫グロブリンが含まれておらず、しばしば過剰な処理がされていて(安物、と言いたいですか?)、免疫グロブリンが壊されてしまっています。第二に、血漿タンパクが非常に高価というだけでなく、これに含まれる免疫グロブリンの構成がとても一般的なものなので、病原体による下痢の大発生の場合には効果がありません。これはより健康な家畜で、幅広い病原体に対して減少させる効果でしかあらわれません。それに対して、品質の良い免疫強化エッグパウダーは下痢の原因となる病原性に対してとても特異的に、そして同時に比較的健康な家畜に対しても飼料の摂取量や成長を促進します。また、この製品に限らず、鶏の免疫グロブリンは哺乳類のそれより病原体に対してより強い親和性を発揮します。ですから、1kgの免疫強化卵のエッグパウダーは50sの血漿タンパクを置き換えます。言うまでもなく、これらの州における事故の対策として私は高品質の子豚用の餌の原料として使わなかったことがありません。今、秘密を明らかにしました!


PIG PROGRESS net. No.174 07 Oct. 2008 by Dr. Ioannis Mavromichalis)



 特定の下痢の病原体に対する抗体を含んだエッグパウダーを子豚に給与すれば、それに対する防御効果が得られるので効果的に下痢をコントロールできる。けれども、病原体と抗体がミスマッチしていた場合は望んだほどの効果が得られないということになります。つまり、自分の農場の卵は効くけど、よその農場の卵は効果が期待できないということ。しかし、子豚の下痢の病原体を効果的に選択した免疫強化卵であれば、血漿タンパクをしのぐ予防効果が期待できるという事です。
 実際、アメリカでは農場の病原体の種類にあわせて抗体をオリジナルブレンドするというサービスを提供しているところもあるし、国内でもTGEなどに対する抗体入りの混合飼料も販売されています。いろいろなものが出ているので、それぞれの製品の特性をよく理解して使うようにしましょう。絶対にどこでも効果が出るものなどありません。




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