養豚衛生特集
豚群への牛結核病の侵入リスクを減らすバイオセキュリティー
BPEXの速報が伝えるアナグマの動向とアナグマ、また他の感染源による豚群への牛結核病の侵入リスクを減らすためのバイオセキュリティーの一例
この情報通信ではアナグマの動向とアナグマ、また他の感染源による豚群への牛結核病の侵入リスクを減らすためのバイオセキュリティーの例についてお知らせします。歴史的に見て、英国の養豚産業のバイオセキュリティーはとても優れており、アナグマも含めてリストアップされた感染源について検討しても、現行のバイオセキュリティーにこれまで以上の労力を加える必要はないと思われます。バイオセキュリティープログラムは農場の衛生プログラムの一部とし、担当の獣医師と協力して行いましょう。
最初の章ではNFUの速報、「牛結核病のコントロール Part2、バイオセキュリティー」からの一般的な情報を提供します。第二部は養豚のバイオセキュリティーです。
●アナグマは雑食性のイタチ科の動物です。彼らはミミズや幼虫なども豊富にあれば食べますが、小さな昆虫やハリネズミ、ウサギなどの哺乳類、死肉、鳥の卵、果物、トウモロコシ、大麦や小麦などまわりにある食料となるものなら何でも利用します。
●アナグマの平均寿命は5〜8年で、一年のほとんどの期間で交配することができます。
●アナグマは穴の中で性格する生き物です。彼らは何年間も同じ巣穴で生活し続け、何百年も使われ続けている大きな巣穴もあります。
●アナグマの嗅覚は我々人間のものと比べて800倍以上敏感です。彼らは巣穴から広がるよく使い込んだ獣道を使い、なわばりの境界部にトイレなどを作ってマーキングとします。
●病気になった個体が家族や大きな巣穴から追い出されるという証拠はありませんが、病気になったアナグマの行動範囲が広くなり、餌場に近い大きな巣穴から離れたところの一人用の巣穴で生活するようになるという事が何例か確認されています。
●アナグマが結核病に感染しているかどうかは見ただけでは分かりません。
●農場のパドックや建物、飼料庫の近くに巣穴が無いか確認しましょう(写真2)。また、アナグマは床下やワラ置き場、納屋の中などでも生活します。アナグマが来ている明らかな証拠が無いか定期的にチェックしましょう(写真3)。
●牛の農場ではアナグマを防ぐために水や飼料の桶、鉱塩などは120p以上の高さに設置していますが、これは養豚では使えない手段なのでバイオセキュリティーを良好に保つことが重要になります。
バイオセキュリティーの実践
○飼料や穀物の貯蔵場所への侵入は絶対に防がなければなりません。アナグマはコンクリートなどの出っ張りがあれば90pは易々と登ります。彼らはとてもしつこい生き物です。
○ドアや扉と地面との隙間が8p以上あるとアナグマが侵入します。扉の下の床が柔らかいとアナグマが掘ってしまうので、プラスチックの板などで修繕する(写真4)か、通電したフェンスが必要になります。すべての飼料庫にドアを付け、ぴったりと確実に閉めましょう。
○飼料の貯蔵エリアの真理はきれいに整頓し、餌埃を掃除しましょう(写真5)。自動給餌器の飼料の流れが正確で、故障が無いか確認しましょう(写真6)。
○分娩パドックや自動給餌器など、屋外で最も被害の出やすいところはキツネよけタイプの電気柵で囲いましょう。食料環境省(FERA)の調査によると、電気柵のワイヤーは10cm、15cm、20cm、30cmの間隔が効果的だそうです。
○定期的な除草を行い、毎週パドックを歩いて掘り返しや荒らされた跡がないか探しましょう。
○アナグマの巣がある林に隣接するパドックも狙われやすいところです。
○アナグマ以外の肉食哺乳類の分娩パドックへの侵入は電気柵の外側30cmのところに網を張ると効果的です(写真7)。詳細な情報はBPEXのケーススタディ10を見てください。
○分娩エリアの近くからアナグマがいなくなることが重要です。フェンスがつけられない場合、分娩小屋に母豚を移動する前にワラを長い期間置いておかないようにしましょう。乾いて暖かい敷き料はアナグマを呼び込みます(写真8は豚房で撮影したものです)。自動給餌器のメンテナンスをしっかりと行い、残渣を空きパドックに残さないようにしましょう。
○もし牛の生産者と家畜運搬車を共用する場合、必ず豚を運ぶ前に洗浄・消毒してください。
1992年のアナグマ保護法
法律を勉強しましょう。アナグマを傷つけたり殺したり、残酷な檻に入れる、巣穴を壊すなどの行為は許されておらず、様々な罰則が設けられています。