PCV2-2
(The Pig Site by ピッグサイト主席編集者 Chris Harris)
サーコウイルスのワクチネーションはタイミングが重要
豚サーコウイルス(PCV)に対するワクチネーションで増体の改善や死亡を確実に減らすためにはワクチン接種のタイミングと徹底したプログラムが基本である。
以下の内容は米国のグリースト ベテリナリークリニックのペットグラハム獣医師によって行われた試験の報告で、今年のワールドポークエキスポで議題になったものである。
(World Pork Expo. 2008 Dr. Pat Graham DVM, Ghrist Veterinary Clinic)
グラハム先生によると、PCV2のワクチンを使用しない農場の調査では、マイコプラズマハイオミューモニアエや回腸炎、サーコウイルスなどの健康問題がゆっくりと始まる。これは分娩房から育成、肥育舎を別々に分けている農場でも同様である。
この試験は600頭×8棟の育成舎と1200頭×9棟の肥育舎で行われた。
PCV2のワクチンを使用しない場合では、農場の呼吸器や腸管の疾病が進行的に悪化し、淘汰や死亡が豚群で増加した。PRRSやMycoplasma hyopneumoniae、Streptococcus A suis、回腸炎、PCV2が豚群で増加するのが観察された。Dr.グラハムはワクチンを使用しない場合には疾病が群全体に広がり、安楽死させる割合が増加したが、特にPCV2が原因となる場合は治療する事もできなかった。抗生物質の治療は効果がなく、ワクチンの使用が必要だった。これらの疾病は肥育豚で発生したが、育成豚は影響を受けなかった。
離乳日齢を16から20日に延長したが、肥育舎の成績は導入から3、4週目に死亡率が増加し、成績が悪化した。発症豚は下痢と発育不良、皮膚障害が認められ、安楽死だけができる処置だった。
最初のワクチンプログラムは2006年に始まり、死亡率はそれまでと同じように高い水準だったが、発症していない豚の増体は改善された。豚が発症するのは肥育舎に移動してから3、4週目だったので、ワクチンプログラムをその前に実施し、2.5週後にも再度接種した。
PCV2のワクチンを使い始めてからも、肥育開始から3、4、5週目の死亡率は高いままだった。育成舎の子豚は影響を受けていなかったので、ウイルスが肥育舎の中で蔓延していることが明らかになり、肥育舎の豚が全てワクチンを接種した豚になるまで死亡率は減少しなかった。
そしてサーコウイルスが豚群から排除されると、PRRSのワクチンの使用をやめたが、PRRSとインフルエンザの症状がでた場合でも豚自身の抗体の力で抑えることができた。
ワクチンにより日増体重が増加する
サーコウイルスのワクチンにより、平均日増体重が1.85ポンドから2.05ポンド(838gから929g)増加し、飼料効率が改善され、生存率も高まった。薬物治療だけの場合では死亡率は約17%だったが、ワクチンを使うことによりたったの2%に抑えることができた。
「サーコウイルスのワクチンは肥育の成績を改善し、より健康な豚を作った。サーコウイルスのワクチンは使うと大きな利益が得られるが、全ての豚がワクチン接種を受けていること、そして適切な日齢でワクチンを接種することが必要だ。また、ウイルスに汚染されていない農場でもワクチンを使用した群としなかった群で比べると死亡率は高くなった。」とDr.グラハムは語った。
インターベット社のDr. Brad Thacker(獣医師、博士)によると、サーコウイルスの問題がないからといってワクチンが必要ないということにはならないと述べている。彼はこの病気は混乱の元になり、試験結果ではワクチンで豚の成績が改善する事が示されていると語った。認証前の特別許可の下での試験によると、ワクチンを打つ最適なタイミングは3から4週齢で、8週齢のものでは感染を受けると語った。
カナダのいくつかの試験では全体で77%も死亡率を下げる事に成功し、1回のワクチンでも幾分改善されたが、2回の使用でより良い反応が得られたとも語った。彼らが3から5週齢の間でワクチンを接種した試験では、死亡率を18%から7%に下げる事ができた。
23日と44日齢でワクチンを接種した豚では、ワクチンを打たなかった豚と比べて体重に5.2%の違いが現れた。彼は子豚は移行抗体を約12週で失うため、ワクチンは遅くとも9から12週までには使用しなければならず、ワクチンは使用時期が重要だと述べた。
野外試験結果の確認
死亡率と淘汰のデータ
パラメーター |
インターベットワクチン |
対照群 |
子豚の頭数 |
241頭 |
245頭 |
期間ごとの死亡率 |
||
哺乳中 |
1.66% |
2.04% |
育成 |
1.66% |
3.67% |
肥育 |
2.49% |
4.90% |
育成-肥育 |
4.15% |
8.57% |
全ステージ |
5.81% |
10.61% |
他の比較 |
||
小貫 |
7.05% |
9.8% |
小貫と死亡 |
12.86% |
20.41% |
インターベットのPCVワクチンを使用したアメリカ中西部の母豚1700頭の一貫農場でも試験が行われた。この試験では周期的に血液のサンプリングも行なわれ、どの日齢でも少なくとも1頭は検査が行われた。サンプリングは3、6、9、12、15、21週齢に行い、ELISAによるPCV2の抗体検査が行われた。この研究データによるとPCVのワクチンは死亡率を減少させ、投与群の育成から肥育期間における成績が対照群を凌駕した。
成長のデータ
パラメーター |
インターベットワクチン |
対照群 |
開始体重 |
16.4 |
16.2 |
期間ごとの増体 |
||
哺乳中 |
0.81 |
0.83 |
育成 |
1.49 |
1.39 |
肥育 |
1.72 |
1.65 |
育成-肥育 |
1.61 |
1.53 |
全ステージ |
1.35 |
1.30 |
販売時 |
||
体重 |
254.6 |
246.9 |
価値 |
112.86 |
108.65 |
インターベットはさらに、対照群の豚は移行抗体を12週齢に失い、12から15週齢の間で血清が変化する。これは豚が肥育舎に移動してからPCV2の感染を受けるということも意味している。ワクチンを使用するときの移行抗体のレベルはワクチンの効果に影響しない。
(The Pig Site by ピッグサイト主席編集者 Chris Harris)