損をしないための牛白血病検査

身近なところで牛白血病の検査の必要性を感じるのは、発症牛の病勢鑑定で保険金を請求する時だと思います。せっかくの価値ある牛がただ全廃棄になるよりは、保険金で少しでも損害を減らせるように検査するのは当たり前ですが、実はそれ以外の場面でも見えないところで大きな損害が出ています。

一つは白血病の影響をすでに受けていて、繁殖障害に陥っているような牛にかける費用です。
 とくに血統が良くてどうしても子牛が欲しいと、特に良い種を使ったり繁殖障害の治療にお金をかけていたら実は白血病に感染していて発症した、なんていうと餌代も含めて相当の費用をかけてしまっていることになります。その牛がもしウイルスに罹っていて、しかも発症のリスクが高いなんてことが分かっていたら余計な費用をかけずにさっさと他の牛に更新し、損害を最小限に抑えることができます。

一つは貴重な感染していない子牛を感染から守るためです。
 まず血統、増体、そのころの相場を参考に、お手元の子牛の価値を自分で査定してみてください。そしてその牛がウイルス陽性だった場合、価値がどれくらい下がるか考えてみてください。それだけでどれほどの損害が発生しているか分かると思います。たとえ感染した母牛からでも陰性の子牛を得ることができます。しかしながら、きちんと感染を防ぐような子牛の管理方法をとらなければ、せっかくの子牛を感染させてしまい、農場の牛がいつの間にか感染牛ばかりになってしまうことになります。

上記の損害を考えると、農場全頭の検査を受けたとしても、費用などとても安いものだということが分かると思います。もちろん、検査結果から農場ごとの問題点を洗い出し、何から手を付けるか優先順位をつけて対策をとっていくことが必要ですが、こういう損をしないやり方の積み重ねが農場からのウイルスの排除につながります。


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