保定台を使ったオオハクチョウの保定法
ここでは保定台を使用したオオハクチョウの保定を紹介します。この保定法なら、採血や簡単な傷の処置を一人でできるので重宝します。
保定台
工事現場でもらった廃材のベニヤと材木で作りました。作業の所要時間は約1時間です。
側面の板は40cm×90cmで、角度は110度くらいです。高さはお好みですが、20cm位の高さだとしゃがんで処置するのに楽だと思います。
白鳥の前処置
前処置といっても特に薬は使いません。ポイントはあまりハクチョウを暴れさせないように速やかに捕まえ、頭に目隠しの袋を被せることです。
白鳥を捕まえる時に一番気をつけなければいけないのは水掻きの先に突き出している爪です。くちばし、翼の攻撃は迫力がありますが、実際の攻撃力はあまりありません。ケガをするのは足の爪を引っかけられた時です。
背中から抱きついて、両足を掴めば翼と足を押さえられます。しっかりと押さえられたら頭に目隠しの袋を被せましょう。
翼を開かせないように押さえつつ、両足をしっかりと8の字に紐をかけて縛りましょう。この時点でハクチョウは極端におとなしくなります。
右の写真は右翼を治療するために保定台に保定した様子です。足を縛った紐を左翼側に引っ張って固定します。
首と右翼はフリーですが、ほとんど暴れる事はありません。
左の写真は後ろから見た様子。ハクチョウ自身の体重で左翼が固定されています。
下の写真は右翼の治療をするために右翼を紐で縛ったところです。皮膚の縫合くらいならこの保定法と局所麻酔で済ませられますが、骨折などがあれば全身麻酔を施します。
左の写真は左翼から採血するために、右翼側に足を固定した様子です。この状態で、すでに軽い力で翼を動かす事ができます。
左下の写真は実際に採血をしている様子です。鳥類の血管壁はとても傷つきやすくて血腫になりやすいので、失敗したときのことを考えるとできるだけ翼の遠位部から採血をはじめた方が良いです。
採血後はしっかりとガーゼで圧迫し、止血を確認しましょう。
この保定法は他の野生鳥類にも応用できます。左の写真は側板が20cm×50cmの小型の保定台を使ったフクロウの保定の様子です。このサイズなら一般の処置台でも同様に使えると思います。