豚の採血法についてはノルウェー獣医科大学の資料をもとにした「豚の採血法」のページで詳しく紹介しましたが、より頭の中で血管のイメージをつかみやすいように豚の頸部の静脈走行について確認してみましょう。
右の図はサウスカロライナ医科大学の資料です。この図を参考にして、哺乳子豚の頸部を解剖して観察します。
頸部の浅層の筋肉をはがすと外頚静脈が確認できます。
?皮した状態です。橈側皮静脈の走行が良くわかります。生きているときはもっと血管は怒張しているので、このくらいの子豚の橈側皮静脈からの採血は猫より楽そうですが、日齢が進むと橈側皮静脈はあっという間に見えなくなります。
胸骨も取り除いた様子です。ボビーさんのイラスト通りに外頚静脈、内頚静脈、頸動脈、橈側皮静脈、腋下静脈、前大静脈が走行しているのが確認できます。
子豚の採血で胸骨柄付近を穿刺するときや母豚で前大静脈を狙う時にこのイメージが頭にあると狙いやすいはずです。
内層には外頚静脈に並行して走る内頚静脈と頸動脈が確認できます。どの血管も頸部を気管に並行して走行し、胸部で橈側皮静脈とともに胸部の中心、胸骨柄下に侵入していきます。
頸部の採血ではこれら3つの血管のどれかにあたるわけですが、ほとんどの場合で内・外の頚静脈にヒットし、頸動脈に刺さることは滅多にありません。動脈に当たると鮮やかな動脈血が取れるそうですが、私は幸い(?)まだ経験した覚えがありません。
左の写真は約1週齢の哺乳子豚です。このくらいの日齢だと橈側皮静脈の走行が良く確認できるのですが、写真は死んだ個体なので静脈はよくわかりません。